さまざまなところで沸々と話題になりつつあるNFTアートですが、言葉だけは聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。
同時に、とっつきにくい印象を抱かれている方もいらっしゃるように思います。
ちなみにド文系な竹谷は、幾度となく関連する記事に目を通すも、読む単語はすぐさま眼窩からこぼれ落ちる始末で、正直に申し上げれば今でもあまり理解できているとは言えません。
それでも、ミリアッシュはNFTアートを販売するに至りました。
今回は、その経緯ならび理由につき、ゆるく記していく次第です。NFTアートが気になる、取り組もうか考えている、そういった方々にとって、何かしら得るもののある内容となっておりましたら嬉しい限りです。
■NFTアート:灼熱の氷山(yUneshi)
「NFTアートってご存知ですか?」
そう知人から連絡が来たのは、3月でした。
イラスト制作会社として”アート”という響きにふんわりとした親和性を覚えつつ、調べていくうちに「ブロックチェーン」や「デジタル資産」といった骨は見えても、肉は全然見えません。
「知り合いが近日プラットフォームを立ち上げるので、ご興味あれば」
しかし、わからない時こそ好機であると思いました。興味はビンビンに津々です。なら、取り組むほかに選択肢はありません。
そう判断し、お繋ぎいただいたのが「エンタメ × ブロックチェーン」を理念にする CryptoGames株式会社様でした。
CryptoGames社は、ブロックチェーンのカードゲーム『CryptoSpells』を展開されている企業様で、この度新たに進められていたプラットフォームが『NFTStudio』です。
そして、NFTアートを具体化するにあたり、即座にお力添えいただいたのが先述の jbstyle. さんと yUneshi さんでした。おふたりとも、常に最前線で闘い続ける、気焔万丈勇気凛々なイラストレーターです。
このおふたりのべらぼうなカッコよさにつきましては、ぜひ下記動画をご覧ください。競技型デジタルアート『LIMITS』の世界大会準決勝です。
jbstyle. さんは弊社企画にて制作していただいたゲームクリエイターブランドやeスポーツ団体 DEPORTAR のイラストを、yUneshiさん は、2020年の366日に渡って挑戦されていた毎日20分アートの No.20 までをNFTアートにしました。
■NFTアート:eスポーツ団体『DEPORTAR』ロゴ・キービジュアル(jbstyle.)
暗号のあの字もわからない人間がしいて表するなら「すごい技術によって"一点物"になったデジタル資産」でしょうか。換言するなら高い希少性、ゲームっぽく申せばハイレアリティのようなイメージです。
アナログのアートが数億円規模で取引されるのは、美的価値を備えているのは当然として、アナログゆえの「それしかない」という希少性の高さも起因していると言えます。同じものが1つとしてないバッグのブランドであるFRITAG(フライターグ)の人気や、ビアードパパの数量限定のシュークリームがつい食べたくなってしまうのも、同等の理由かと思います。
対して、デジタルなものは、語弊を恐れずに言えばコピーアンドペーストで増やせます。複製しやすいです。公私問わず、ネット上にある画像を自分のPCやスマートフォンに保存した経験のない方は、おそらくいないのではないでしょうか。
NFTアートも、もちろんデータそれ自体は複製できます。しかし、NFTアートとして存在しているオリジナルはこの1点です、という主張が、ものすごい技術によって保証されています。
「じゃあ、どうしてわざわざNFTアートを買うの?」
ではこのように問うに、回答は下記のような利点によると考えられます。
①その作家さんが好きで、応援したい。
これは非常にシンプルで、ゆえに強い理由です。作家さんを応援したいけどどこにお金を払えばいいかわからない、という方にとって、買えるものがあることはまったくもって良きことです。
②新しいものに触れておきたい。
現状では、こういう方々も少なくないように思います。現に弊社が販売したNFTアートのうち何枚かは、ありがたいことに「ずっとNFTアートが気になっていたので買えてよかったです!」という動機でお買い上げくださる方もおりました。
③収益を上げたい。
また、NFTアートがデジタル資産と呼ばれる所以でもあるのが、ただ買うだけでなく自身のものとして”所有”できる点です。
中古ショップやフリーマーケットアプリのように、持っているものは二次流通として販売する、すなわち転売することができます。デジタル資産と称される通り、まさにNFTアートは自己所有物件となります。
そして、ミリアッシュが惚れたのは、この転売に対してでした。
■NFTアート:死んだ太陽(yUneshi)
あるNFTアートを販売価格10,000円で登録します。すると、あくまでNFTStudioにおいてとなりますが、売れると販売価格のおおよそ80%が戻ってきます。8,000円の儲けが出ます。
そのNFTアートを買い、所有者となったひとが20,000円で誰かに販売します。そのひとにはおおよそ10,000円の利鞘が生まれます。
昨年11月に発売されたゲーム機『PlayStation 5』は今でも供給が追いついておらず、倍近いほどの値段で転売されています。転売屋と呼ばれる人々が何かを売って生じる利益は、当然その転売屋のものです。
しかし、NFTアートの場合、すべてのプラットフォームに通ずることかわからず恐れ入りますが、転売時に販売価格のおおよそ8%前後が著作者に還元されます。
先の転売屋もそうですが、時折中古市場が問題視される原因に、おおもとの作り手である著作権者に一切お金が届かない、というのがあります。ゲームショップで中古のゲームソフトを売って収益を上げるのはそのゲームショップだけですし、フリーマーケットアプリで売買をしても、儲かるのは売り手だけです。その善悪を問うているのではなく、仕組みの問題です。
この原因は、アナログだからこそとも言えます。手で渡されていく物体は、監視カメラをどれだけ設置してもすり抜けてしまいます。
反面、NFTアートは、ブロックチェーンというスーパーテクノロジーを用いるがゆえに、誰が作り、誰の手に渡ったかがすべて追跡可能です。そのため、「転売時に収益を発生させる」という条件付けもプログラミング可能なのです。
極端な話、最初に10,000円で販売した際は8,000円の収益が生じますが、その後持ち主が100万円で転売した場合、販売者に益が生じるのは当然として、作り手にも80,000円ほどが還元されます。
この永続的とも言える仕組みこそ、イラストに携わるすべての人々にとっての光明かもしれない。ミリアッシュはそう考えています。
■NFTアート:【フルカラー】小高 和剛(ゲームクリエイターブランド)(jbstyle.)
販売開始したてでの所感となりますが、おおよそ次のようなものがあると思います。
①新しいがゆえ、どうなるかわからない。
これから成熟していく市場である以上、何が起こるかわかりません。明治維新直後、海外から雇われた工場技師が飲むワインを日本人は血だと思い、恐れ怖がり、排斥しようとしました。エレベーターが初めて完成した時、決して乗らないひとたちがいました。
新しいことは未知であり、未知は不安と恐怖に直結します。
NFTアートは新しいです。取り組まれる際は、予想できない害を被る可能性もあることを念頭に置かれたほうが良いかと思います。
②環境に悪いと言われている。
そして、既にこのような批判も出ています。これはブロックチェーンの計算に際し大量に電力を消費するため、発電量が増えた結果として環境に悪影響を及ぼしかねないというものです。
もちろん、電力消費が抑えられていけば、このような批判は過去のものとなりますし、どうなるかわからないというのは良い方角へ向かう可能性も少なくはありません。
ミリアッシュもまさに、まずは新しきに対峙するべく、販売へと舵を切った次第です。
改めて、快く賛同いただいた jbstyle. さんと yUneshi さんに、大きな感謝を申し上げます。
■NFTアート:静かに穏やかに(yUneshi)
NFTアートは、まだまだ伸びしろのある暗号商品だと思います。
「そもそも、NFTアートに価値はあるの?」
最後となりますが、根源的なこの問いに対し、私見を述べて結びとさせてください。
あると思えばある。
身も蓋もスプーンもない、とお思いかもしれませんが、竹谷は大前提として「価値があると思う」ことで世の中は成り立っていると考えています。
「購入」や「買う」という漢字の一部分の通り、硬貨よりも昔には貝貨がありました。
現在日々用いている貨幣は、もともと金や銀と兌換できる保証があったから券として存在できていましたが、今は違います。国が「価値がある」と認めている、つまりそう信じているから価値があります。
NFTアートには可能性がある。NFTアートを買ってみたい、売ってみたい。
そういう色々な方の感情と行動が、NFTアートを一層強固なものへと押し上げていきます。
そして、なかんずくゲームこそ、巨大な可能性を秘めていると考えています。2Dも含めたグラフィック、音楽、動画等、ゲームはデジタルデータの集合体であり、変化の杖を振ればそのままデジタル資産であるNFTアートとして異世界転生されます。
たとえば、ゲーム中に登場しない、実は作っていたイラストや3Dモデル。不採用になった、制作者の気に入っている楽曲。開発途中のゲーム映像。
それらを、たったひとりの購入者が特権として鑑賞できるとなったら。鑑賞後、それらを「良いものだ!」と高く転売し、生じた収益の一部を著作権者へ還元できるとしたら。
何だか少し、胸が躍ってきませんか。
そしてその感情の昂りこそ、価値を生み出せるものの証ではないでしょうか。
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お読みくださりありがとうございました!